深瀬・レスキュー教室

H24.04.22(曇り時々雨)。深瀬沢登り教室のレスキュー教室に参加した。

不慮の事故時、レスキュー専門の最新の道具ではなく、普通の山行の道具で、
「如何にして しのぐか?」的・初級山屋にとって有用な講習と思われ 参加した。

場所は、埼玉県日高市/高麗川・天神橋で行われた。

:山渓技術全書J“セルフレスキュー”(渡邊輝男 著、'07.09.05初版)に
記載のある事項に関しては、簡単記載〜省略した。

4.21(土) 恒例の前夜泊しての前夜祭(各自の料理を持ち寄り宴会)だ。
 前夜祭も講習も、深瀬先生主催の梁山泊(山岳会)と合同だった。
 それぞれに、好み・得意な料理があり、変化が有り&美味しく&楽しい。

4.22
(日)2日酔いの人は居ませんか〜? 寝不足の人はいませんか〜?
 全員復活してますよ〜! 今日も一日頑張りましょう!
 (私等自信のない人は、早めに寝た方が良いかも。)

 皆で一緒に、(それぞれの)朝食を食べ、講習開始〜!


1.引き上げる(ライジング・システム)

 岩場や急斜面等で、ロープの途中で (意識消失〜ロープトラブル等で)
 動けなくなった人(救助を要する人:要救者)を救助する場合、その下に
 安全な所・移動可能な所があれば、そこへ下した(おろした)方が楽だ。

 しかし、峡谷・シュルンド(クレパス)引き上げざるを得ない時はある。

1-1.アンカー

  (今回は橋で練習したので)アンカーはプルージック(3回転)で取った。
  荷重かかった時に締め付けられるようにセットする事が大事である。
  (最後に締める前に、巻き部を向こうに回転させる。)
  横木等にアンカーとる場合も、これが良いだろう。

  当然2ヶ所以上にとる。

1-2.流動分散1

  2つの支点を結ぶロープの角度は60°以下が望ましい。
 (アンカーに体重以上の力がかかるから、120°以上は絶対にダメ。)

  2つのアンカーのスリングの角度が60度以上になりそうな時〜
  短すぎの場合は、もう一つのスリングを、
  スクエアノットで結んで流動分散でも良い(→)。

 図を描いていて ふと思ったが、荷重が1:3
 なりそうだ。(もう1コアンカーとり逆方向にかければ均等近い?)

 両方のアンカーのカラビナに、1つの長いスリングの
 片方のロープを通し(継ぎ足ししない)場合は1:1に
 なる。(本HPのクライミング講習〜山渓セルフレスキューP77.に記載あり)

 だから、この図の場合、両方のアンカーのスリングにカラビナを通して
 長いスリングで上記をすれば良いのだ。(カラビナもったいない?)

 流動分散2

  長いスリングを、両方のアンカーの輪に通して、
  真ん中の一本を捻って引っ張る(→)でも良い。

  この場合は、荷重は均等に分散するが、ロープは
  短くなる。真ん中を引っ張らなくても良さそうだが、
  引っ張らないと、上のスリングが寄って、角度が
  開いてしまうだろう。


1-3.固定分散
  テープスリングで流動分散し、テープが摩擦で溶け切れた事故があった
  らしい。(かなり特殊なケースかとは思う)なので、特にレスキュー
  では固定分散にすべきとの意見が強かった。

  全体のスリングを束ね、荷重方向にひっぱり、8字結びで
  結ぶ。

 →全てのスリングの長さが同じくらいでないと。8字の先の
  輪がばらつく?8字で結んでいるから、そこの負荷の差は
  問題なし?

1-2. 1/3システム
 メインロープに スリングをフリクションノットで結び、スリングに
 荷重を分散する(下図。この場合、ロープに1、スリングに2の荷重に
 なり、救助者も1(=1/3)で引ける。(山渓セルフレスキューP91.)

 a.カラビナでオートブロックシステムを作る場合
  オートブロックシステム:疲れて一時休憩したい時、ロープを離して
   も ロープが下がらないように、ロープをロックするシステム。
   講習会では、ガルダーヒッチを用いた。

 要求者側のロープを、
 1.最初のアンカーのガルダーヒッチを通し
 2.フリクションノットのスリングの
  カラビナを通し、
 3.次のアンカーのカラビナを通して
  引っ張る。
  
  腰を下ろすようにして、体重で引く。

(オートブロックシステム)
ガルダーヒッチ
同じ形のカラビナ2枚で
開口部は両方同じ手前向きにして、

両方のカラビナを通して、
手前を戻し、片方のビナ
だけを通す。

(要救者側に荷重かかると)両ビナを通したロープが両ビナを締め付け、
 ビナに挟まれた救助者側のロープを締めつけロープを止める。

山渓セルフレスキューP75.では、ビエンテいうシステムを紹介している。
 カラビナは、逆方向両側に開き、ほぼ同じロープの回し方をする。
 その図ではヌンチャクを使っているが、ヌンチャクは追加のビナ通らない
 ものも多いし、同じ形のカラビナ2枚が良いだろう。

オートブロックシステムもカラビナも摩擦抵抗が大きい。かなり力をロスる。(8環やATCを通しているようなもの?)プーリーを使った方がロスは無い。

 b.プーリーで行う場合
  オートブロック機能はないので、フリクション・ノットもう1個ロープ
  につける(下図左、フリクション2)。
  (フリクションノット1のカラビナ開口部は反対向きの方が良いが、面倒なので書き直さない〜っと。)

  プリ―(やタイブロック)をつけるカラビナはO型が良い。
  (その方がプーリーの位置が安定する)

  フリクション1は救助者(確保者)の手が届く最大限付近に、セット
  する。フリクション2は、その半分ぐらいの所にセットする。
   
1.ヨイショと引き上げて



2.(上図左)ロープにテンションをかけている
 状態でフリクション2を下にずらす。
3.(上図右)引き(〜体)を緩めると、フリク
 ション2にテンションが かかり ロープは
 ブロックされる。
 フリクション1は緩むので、下まで下げる。

 1.に戻り繰り返す。 


(←左図)フリクション2がプーリーに巻き込まれないように、プーリー要救者側にカラビナをかけると良い。

これでも、巻き込まれる時は 巻き込まれるかな・・?

2.下す(ローアーダウン)
 要救者の下に安全な所があれば、降ろした方が 段違いに楽です。

 全体の流れとしては、
  1.救助者(確保者)は、(ロープから両手を離せるように)ロープを
   仮固定する。
  2.ロープの要救者にスリングをフリクションノットで結びつけ
   スリングをアンカーに固定する。(ロープの固定完了)
  3.仮固定の解除。

  4.救助用アンカー(要救者側のアンカーとは別に しっかり取った方が良い)
   &救助用ロープをセットする。
  5.救助用ロープで懸垂下降する(懸垂下降(1))

  6.ヌンチャクで救助者&要救者を連結する。
  山渓セルフレスキューでは、デージーチェーンで連結する方法を紹介しているが、それは 要救者の意識があり歩ける場合である。そうでなければ、要救者をなるべく近くで確保し支えて下りなけばならない。
  7.要救者のロープ(の上側)をナイフで切断する。

  8.要救者を確保した状態で懸垂下降する(懸垂下降(2))


 仮固定 (半マストでロープを送っていた場合)
   
(上図左&中央左)ロープ自由端(がカラビナの向こう側から出ているなら)を、要救者側ロープの手前から裏を回して1周以上巻く。
(上図中央の2図)カラビナに手前から通す。
 →要するに、負荷側のロープに長い距離を巻きつけるという事。

(上図右)止め結び。(抜きやすいように輪にして通す)

他の生徒の質問:ATCは?巻き込み同じ、上(アンカー部)でワンターンしてから戻して止め結び?(記憶ややあいまい)


 懸垂下降(1)

 a.地面がある時
  ・8環(沢(深瀬教室〜シングルロープ)ではATCではなく、8環を使う)に救助用の
   ロープをセットし、ハーネスに固定する。
  ・8環の上方にフリクションノット(ヘッドオン or プルージック)を
   セットし、ハーネスに固定する。

  ・フリクションノットを握りながら、
   懸垂下降し要救者に近づく。
  ・要救者を またぐ。
  (要救助の確保)

 (:→写真の救助者は、右でフリクション
    ノットを握っているように見えますが、
    右手でした。(下降中に何か必要な作業が
    できるように、右利きの人の引手は左手が良い)

    既に、フリクションノットで止め次の作業をしようとしています。
    体勢を維持するために、左手でロープにつかまっています。)

 ((→)写真を拡大するとわかりますが)
  ・ヌンチャクで 二人のハーネスを連結
  する。

  (注:→写真の救助者は、自分のハーネスに
   ヌンチャクをかけてから救助者にかけよ
   うとしているが、救助者にかけてから
   自分のにかけた方がやりやすい。
    (救助者のハーネスを引き上げられる)

  ・要救者のロープ切断
   (要救者の体勢維持やデージーチェーンに関してはb.に記載した)

  ・要救者を確保しながら懸垂下降(2)



 b.宙吊り〜それに近い時

  ・8環はスリングを使い少し高い位置にセットする。
   (すぐ前だと、色々なレスキュー動作をやりにくい)
   フリクションノットはa.と同じ。
   (→2つはa.と逆の位置になります。)

  ・フリクションノットを握りながら、懸垂下降して要救者に近づく。

 ・予定位置より少し上で一旦停止し、
   徐々に位置調整しながら下る。

 (→写真は、左:救助者、右:要救者)

  ・予定位置で、両足で要救者の体を
  挟む。(柔道の胴締め)
  (要救助の確保目的)
  ・2人の連結
@要救者のハーネスにヌンチャクをかけ、
 他端を自分のハーネスのにかけ、
 2人を連結する。


これを忘れてはダメよ〜!
これを忘れて要救者のロープを切ると、
要救者を谷底に突き落とすだけになって
しまいますからね〜!
A(必須ではないが)スリングを、要救者の片手に通し、その背中で捻り、残りの手を通し、前の輪をまとめてカラビナで、自分のハーネスに固定する。
スリングは要救者の背中で横8字の形になる)
(なるべく要救者が直立気味になるようにスリングは短くする)
(要救者の体勢維持し、ロープ切断や搬送の衝撃を緩和する目的)

そして
・要救者のロープを切断〜!
(自分のロープ切っちゃダメよ〜!
 2人でこの世と さよなら しちゃうよ〜!

(右手で切る場合)要救者の頭を
右手で抱え、ナイフの刃先は外上を向けて切る。
(要するに、自分・要救者・自分のロープを傷つけないようにして 切るという事)

:ピンクのロープは、講習時の要救者の安全確保ロープで、実際の現場には無い。
おまけ注:緑のフリースの救助者の人の背中にあるスリングは、要救者役の時に背中にかけた横8字のスリングの遺残です。救助者役の時は要りません。
さらに注:テンションのかかったロープは、若干切れ味悪いナイフでも、良く切れます。

 
 ・懸垂下降(2) 要救者をはさんだまま、懸垂下降。



3.搬送

 .背負い搬送(≒ザック利用)

 山渓・セルフレスキュー P119.“ザック+雨具+
 ストックを使う”に
 ほぼ同じ。

合羽にインクノットするための小石等は(合羽を破かにように)丸いものを使う。

こら〜! 要救者 役の人! ニヤけてんな〜!
要救者らしく、ぐったり
してろ〜!

でも、手は インクノット等で縛られキープされています。要救者は意識がない事も多く体勢のサポートが必要です。

 .ドラック法(引きずる)
  要救者の負担大きく、近距離向けです。

  要救者の片方の脚を別の脚の上に乗せ(両方の脚を引きずると抵抗大きい)
  後から、要救者の脇の下から手を回し、前で片方の手でもう一方の手首を
  つかみ(=手を組み)、引きずる。
  山渓・セルフレスキュー P117.(要救者の手を持つか、自分の手を組む
  かが、若干異なっている。)



 .タンカ搬送
  山渓・セルフレスキュー P122.では、ストックを利用する方法を紹介
  しているが・・、

  ・深瀬沢登り教室では、必ず何人かは鋸(タープ支柱作り、たき火、
   ヤブ脱出・・目的)を持っている。タンカ作りに向いた木・竹等を
   切り出してきます。長いの(身長+4人つかまれる長さ)2本、
   短いの(人の横幅+α)2本。

 ・長い棒は、人の横幅ぐらいにずらしセットする。
  (狭い登山道で、2本の棒の間に
   搬送者が2人入ると動きずらい。)

 ・Tシャッツや合羽の袖を長棒に通す。
  (長袖は袖を内側に引き込んで通す。)
  
  ・短い棒を、長い棒に結びつける。
   (短い棒はあまり外に出さない。
    ヤブ等にひっかかるから?)

  (・頭を少し高くするために、頭側にザック等を置く。
    ・・・ザックに余りはないかな?
  
 * 短い棒の結びかた *
  引っ越し荷造り用等の化繊の丸紐を持参容易しておくと良い。軽いし
  他の使いでもある。

紐を、長棒の後から短い棒の前を通し、
長棒の後で交叉し
前に戻す。
(この巻きはもう1回やっても良い。)

棒と棒の間で、両棒を結んでいる紐を締め付けるように回して結ぶ(上図右・横向き図)。
(棒の間で豆結びしても良いし、一旦捻じり合わせてから短い棒の手前で結んでも良い。

要は2本の棒を締めているロープをしっかり締めるという事。

** タンカができたら、要求者を乗せ、合羽等をかぶせ、合羽等が飛ばされ
  ないようロープで結び押さえる。(保温)


 * 肩掛けスリング *
  手で長時間タンカを持つのはつらい。スリングを使い、肩にかけると
  良い。(2コ上の図の左)スリングは2本使い

  タンカ側は短めのにし、体側はできればテープスリングにする(肩の
  負荷を緩和する)(山渓・・にはスリングの下にタオルを敷いている)

  2つのスリングは、シートベンドで結び長さを調節する。
  (担ぐ人全員で、腰を下ろした体勢で、タンカが水平になるように
   スリングの長さ長さを調節し、一斉にゆっくり立ち上がる。)

  注:安全のため、シートベントの長い方の輪を 短い方の輪に通す。


  * 搬送歩行時の注意 *

 斜面では、低い側は縦棒を持ち上げる。
 (要救者をほぼ水平(頭少し上)にする)
 要救者の頭方向に進む



自己脱出

 山渓・セルフレスキューP94.にほぼ同じ。
 フリクションノットはカラビナバッチマン(カラビナをを持つ〜押す等移動させやすい)を用いた。

メインロープ10.5mmダブルだった。
フリクションノットの効きは良い、良すぎ!
送る時も抵抗強く、疲れまました。

それはそれとして、写真左に煙が・・・
誰だ〜!タバコ吸ってんの〜!

フリクションノット3回巻き(最低限の回数)は効き過ぎ、この場合2回巻きで良かった。

つかれました〜。

途中で、チョット休憩!

総括

内容豊富で、全てを まとめ記録するのは、困難でした。
ご指導ありがとうございました。

セルフレスキューとは、“自己”ではなく“自分のチーム内での”レスキューで、それだけでも、まだまだ教えきれないものが有ったようです。
今日習った事を基本に、ケースバイケースで工夫しなければならない。




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